経済偉人の足跡  増補版

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2014年7月4日 Ver1.0発行

2015年7月3日 Ver2.0発行

電子書籍 600円Amazon Kindle Unlimited:読み放題対象)


【はじめにより

 本書は、銀行員向け専門誌『近代セールス』の2011年4月1日号から2014年3月15日号に連載した「経済偉人の足跡」をまとめたものです。収録したのは全60回です。

 日本の資本主義が始まるのは幕末維新を過ぎてからのことです。この動乱期に姿を現す経済人には大きく2種類あります。

 一つは江戸時代の豪商系列に属する人々です。三井や住友に関連する人たちはもちろんこの系列に属します。

 もう一つは、この動乱期をビジネス・チャンスにして成り上がった人物です。三菱の岩崎弥太郎、のちに大倉財閥を築く大倉喜八郎、安田財閥の創始者・安田善次郎などがこの部類の代表的存在です。数の上では、江戸の豪商をルーツにする人物よりも、こちらの方が圧倒的に多いでしょう。

 いずれに属する経済人も逞しい企業家精神の持ち主でした。激変する環境の変化に機会を見つけ出し、それにうまく適応することで富を築きました。苦境に陥ってもそれを耐え抜く精神力を持ち合わせていました。そしてここ一番という時にリスクに挑む冒険的精神を有していました。

 こうした企業家的態度は、本書で紹介する経済人に脈々と息づいているように見えます。そしてこの精神が、現在の日本経済を作り出したと言っても過言ではないと思います。

 実際、本書で掲げた経済人の足跡を見ると、彼らが逆境を耐えて、機会をその手にしたという、単純ながら、これなくして成功はないというストーリーが繰り返し続くのがわかると思います。

 現在、日本は長い停滞期が今も続いています。この停滞の要因は、本来我々日本人がもっていた起業家精神──アニマル・スピリットが失われつつあるからかもしれません。

 仮にそうだとする、ここに掲げたかつての経済偉人のアニマル・スピリットから、我々が学ぶことが大いにあるに違いありません。

 実際、本書を執筆した私自身、彼らから学ぶこと多数でした。

 ここで示す60人の波瀾万丈の人生から、読者の皆様も何かしら得るところがあれば幸いです。仮に少しでも得るところがあるとすれば、本書の使命は達成されたことになるはずです。


【目次】

・渋沢栄一 日本最初の株式会社を作った男

早矢仕有的  福沢門下生、商社設立を志す

清水喜助  築地に建った、日本最初のホテル

岩崎弥太郎  すべての利益は一身に帰す

岩崎弥之助  三菱の躍進を支えた二代目

田中久重  東芝へとつながる発明家精神

清水誠  国産マッチを創始する

神田孝平 日本に「経済」を広めた男

沖牙太郎  電気通信ブームの波に乗る

下岡蓮杖  写真家の素顔はたくましき実業家

草野丈吉  西洋料理からホテル経営へ

藤岡市助  日本に光を灯せ

福住正兄  箱根の近代化に尽力した男

高島嘉右衛門  高島易断の創始者は日本初の瓦斯ガス事業家

宇都宮三郎  日本のセメント事業を立ち上げた実学者

浅野総一郎  廃物を利用して巨利を得た男

本木昌造  日本の活字文化を切り開いた男

平野富二  活字業そして造船業で成功を収めた男

山口仙之助  日本を代表する外国人向けホテルを築

田中源太郎  株式取引所から鉄道まで京都の近代化に尽くす

笹森儀助  国を憂える男三つの顔を持つ

和泉要助  明治最大のヒット作人力車を世に問う

尾高惇忠  トミオカ・シルクを世界ブランドに

北村重威  精養軒ホテルを作った岩倉具視の付き人

深川栄左エ門  伝統の有田焼で電信の発展に寄与する

手塚亀之助  「精磁会社」の盛衰を味わった男

松尾儀助  日本初、ニューヨークに支店を出した貿易商

長谷川銈五郎  山の再興に夢をかけた男

岩谷松平  東洋煙草大王ここに参上す

村井吉兵衛  たばこ王はプロモーションの天才

木村延吉  凸版印刷の普及に邁進する

三野村利左衛門  三井財閥の基礎を作った男

益田孝  三井物産初代社長は名うての大茶人

馬越恭平  ビール王の出身は公事宿の主人

安田善次郎  江戸の両替商が銀行王になる

豊田佐吉  自動織機の発明に一生を賭ける

豊田喜一郎  自動車王国・日本の基礎を築いた男

広瀬宰平  住友財閥の基礎を創る

川崎正蔵  自らの菩提寺を開基した「造船王」

八代・浜崎太平次 栄枯盛衰を体現した冒険的海商

五代友厚  若くして世を去った関西財界の指導者

藤田伝三郎  大阪の実業界発展に尽くす

大倉喜八郎  致富を目指す者は虎穴に挑む

久原房之助  人生を2度生きた政財界の怪物

森村市左衛門(6代目) 信用第一を貫いた陶器王の精神主義

小平浪平  人真似に甘んじず独立独創の大地を往く

鮎川義介  人生行路はハイキング起伏万重の道を進め

貝島太助  ツルハシ一本から炭鉱王に登り詰める

麻生太吉  関門海峡鉄橋を夢見た北九州の動力王

原富太郎  日本美術を愛した横浜の大恩人

古河市兵衛  「運鈍根」を信奉して一代で銅山王になる

松永安左エ門  民営九電力体制を築いた「電力の鬼」

野村徳七  無為平凡を排し7割の確実性に賭ける

雨宮敬次郎  甲州財閥の豪傑「天下の雨敬」

根津嘉一郎  鉄道王のまたの名は「ボロ嘉一郎」

金子直吉 三井・三菱と肩を並べた鈴木商店の大番頭 

松方幸次郎 栄光と挫折を経験した総理大臣の三男坊 

野口遵 日窒コンツェルンを創った電気化学工業の開拓者 

森矗昶 「白い石炭」でアルミの国産化を実現 

鈴木三郎助 世界を席巻した調味料「味の素」を世に出した男 












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