ドラッカー流最強の勉強法

20100710

2010年7月10日

祥伝社 780円(Amazonへ)


はじめにより

 偉人の知的生産の方法ほど気になるものはない。ほぼ96年の生涯をまっとうし、「20世紀の目撃者」とも呼ばれるピーター・フェルディナンド・ドラッカーについても、同様のことが言えよう。

 ドラッカーの業績を見るにつけ、何故90歳を過ぎても、その執筆意欲が衰えなかったのか、不思議になる。そして、その背景にはドラッカーが実践した何か特殊な知の営みがあったのに他ならない、と推測したくなるというものだ。さらに、仮にその推測が正しいとすると、ではドラッカーはどのような技法を用いたのか、まさにその点が知りたくなる。いささかでもドラッカーにふれた人ならば、いやドラッカーの名を知っている人ならば、誰しもがこのような思いをもつのではないだろうか。

 しかし、ドラッカーが自身の知的生産の技術、すなわち本書流に表現するならば「勉強法」について書いた本は、残念ながら存在しない。ただし、仕事で成果を上げる人の流儀について記した著作『経営者の条件』は、ある意味でドラッカーの「知的生産手法=勉強法」を公開した作品と言えなくもない。

 また、ドラッカーの最高傑作であり、自身の半生を記した点で他の著作とは一線を画す『傍観者の時代』の中にも、ドラッカーがいかに勉強してきたか、その歩みが散見する。さらに、ドラッカーが日本経済新聞社の「私の履歴書」に連載した記事をとりまとめた『ドラッカー20世紀を生きて』にも、ドラッカーの知的生産の技術の秘密が少なからず解き明かされている。加えて同様の記述は、ダイエー創業者中内功との往復書簡をまとめた『創生の時』、『挑戦の時』、21世紀のマネジメントを予見する『明日を支配するもの』などにも見られる。

 以上を踏まえて考えると、確かにドラッカーは自身の「知的生産手法=勉強法」をそのままテーマにした作品こそ世に送り出さなかったものの、著作の端々で関連する手法を公開してきたと言えよう。そして本書は、著作のあちこちに散らばったドラッカーの知的生産手法、すなわち勉強法を採集し、それを再構成して広く提示することを目指した。

 そもそも、ドラッカーは自身のことを執筆家(ライター)と呼ぶ。そして、力量は格段に落ちるものの、同じ執筆家である私自身、ドラッカーの書籍から多様な勉強法を学び、それを実践し、仕事に生かしてきた。いわば同業の大先輩の手法を手本にしてきたとも言える。よって、本書で紹介するドラッカー流勉強法とは、ドラッカーの流儀をベースに私が実践してきた勉強法でもある。

 ドラッカーはあらゆる組織にはミッションが欠かせないと述べた。おそらくこれは、われわれ個々人についても言えることだろう。私自身、「あっ、そうだったのか」「なるほど、そういうことか」「むむむ、わかった」等々、いわば何か「!」を感じられることを創造し、それを提供することが、自分のミッションだと考えている。

 そして本書を読んでくださる皆さんに、少しでも何かの「!」を感じとってもらえれば、筆者である私のミッションは達成されたことになる。

 もちろん、より多くの人がより多くの「!」を感じてもらえるほど、私のミッションの達成度が高まることは言うまでもない。


目次】

第1章 長距離型勉強のすすめ

第2章 テーマはこうして決めよ

第3章 目標をマネジメントせよ

第4章 時間をマネジメントせよ

第5章 選択して集中せよ

第6章 徹底的にインプットせよ

第7章  過激にアウトプットせよ

おわりに 勉強テーマが人生を変えることもある


【書評

朝日新聞 2010年7月28日 朝刊 


朝日新聞書評ドラッカー流勉強法②

















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