2024年2月28日 

明治維新の立役者、明治の元勲、そして「三井の番頭さん」として著名な井上馨が、日本美術の大蒐集家であったことはあまり知られていません。所蔵していた古美術品には国宝・重要文化財レベルのものが多数あり、その蒐集品を基礎にして美術館を創設できるほどでした。しかしながら現在はコレクションが散逸してしまったこともあり、「美術狂・井上馨」の横顔は不透明のままになっています。
本書では井上が、具体的にどのような日本美術を蒐集したのか、日露戦争の勃発など時代背景も念頭に、50点を超える貴重な図版を通じてその詳細を明らかにしました。これにより、知られざる古美術蒐集家としての井上馨を徹底して解明できるとともに、井上を通じて明治・大正期の古美術蒐集の一斑を知ることができるでしょう。加えて、井上の美術品蒐集が美術界に与えた功績について考えるとともに、人がなぜ美に惹かれ美術品を集めるのか、その謎にも迫っています。歴史×美術ノンフィクションとして是非ご一読ください。

【内容紹介】より


【目次】
プロローグ
第一章 『世外庵鑒賞』に見る井上コレクション
第二章 井上馨が蔵した「三大国宝仏画」
第三章 不動明王像に神風を託す
第四章 室町殿の逸品「東山御物」に魅せられて
第五章 麻布・内田山邸を飾った至宝
第六章 流出する井上コレクション
エピローグ