2015年8月3日 祥伝社 

使い古されたたとえかもしれないが、国にとって経済と安全保障は、車の両輪にたとえられよう。経済がなければ人々の暮らしは成り立たない。同様に安全保障がなければ人々は安心して暮らせない。いずれが欠けても国家という車は前に進まない。両輪が適切に回ってこそ車は前に進む。
とはいえ、この車をどこに向けて進めるのかはハンドルを握る運転手の判断に預かるところが大となる。では、国にとってこの運転手とは誰か。
そう、国家のCEOたる首相である。
歴代首相のハンドルさばきを個別に見ていくと、経済施策を前面に打ち出した首相もいれば、安全保障に血道を分けた首相もいる。もちろん双方で何ら実績を上げられなかった首相もこれまた多数いたことがわかる。
加えて、前述のごとく経済と安全保障という両輪で日本の戦後70年をひもといていくと、現在の日本が置かれている状況、世間でしきりに話題になる問題の深層が、にわかに了解できるのだから不思議なものである。
だから本書は、歴代首相の功罪を単に物語りするのみならず、上記で言うところの「了解」の手助けをすることこそが、実は真の使命なのである。

【はじめにより】

【目次】
第1章 新憲法を決定づけたのは誰か
第2章 戦後の日本の形を決めた人物.
第3章 安保闘争という空疎な時代を経て
第4章 高度経済成長と先進国への仲間入り
第5章 日本は歴史の転換点を迎えたのか
第6章 ジャパン・アズ・ナンバーワンを目指す
第7章 バブル経済の暴走から崩壊へ
第8章 失われた二〇年とは何だったのか
最終章 日本はどこに向かうのか  

東京(中日)新聞 2015年9月6日 朝刊