2012年9月30日 朝日新聞出版   

カーネルおじさんの生涯、いかがでしたか。
知っているつもりでいたあのカーネルおじさんが、実は苛烈な人生を歩んでいたことがわかってもらえたと思います。
では、現代の我々はカーネルおじさんの生涯からどんな教訓を得られるのでしょうか。
まず一番に挙げたいのは、カーネルが10歳のときに経験した失敗から得たビジネス哲学「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」です。
いまや日本経済は「失われた10年」から「失われた20年」となり、このままいくと「失われた30年」も現実味を帯びてきました。しかし瀬戸際にもかかわらず、時代の雰囲気は緊張感よりも諦念が先に立っているように思えます。できることがあるのに、「どうせ無駄でしょう」とばかり現状維持に流れる雰囲気です。
そのためか「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」などと叫ぶと、「暑苦しい」とか「うざったい」といった声が返ってきそうです。
確かに個人の力で「失われた30年」を阻止するのは難しいでしょう。しかし誰もが自分の来る10年の人生を実りあるものにしたいと考えているはずです。
仮にそんな思いを少しでももっているならば──この本を読んでくださった方ならば必ずもっていると信じていますが──、できることがあるならばすべて実行し、個々のやれることについて最善を尽くすべきだと思います。
もちろん、これで成功を手にできると限りません。しかし何もせずに終わるこの先10年と、とにかく悪戦苦闘したこの先10年とでは、結果はおのずと違うものになるはずです。

【おわりにより】

【目次】
1  65歳からの再起
2   ビジネス哲学
3   仕事へのプライド
4  二つのモットー・四つのテスト
5   ネガティブ・セールスマン
6   懸命に働く
7   ひらめき
8   プロモーション
9   ルール化とその厳守
10  成功と失敗
11  シークレット・レシピ
12  ピンチの連続
13  フランチャイズ・ビジネス
14  車での寝起き
15  カーネルの流儀
16 完全主義者
17  歩く広告塔
18  仕事の創造
19  慈善活動
20  会社売却
21  生涯現役

【書評】

夕刊フジ 2012年10月27日